西国三十三度行者について

京都市のHPによれば
 江戸時代初期から昭和30年代前半まで,この西国三十三所を廻った民間の廻国修行者の存在が確認できる。行者は,サンドサン,オセタハン,セタブッサンなどと呼ばれ,各々オセタ(御背板,もしくは御背駄)と呼ばれる笈を背負って廻国をした。オセタはセタ元,あるいは本山などといわれる寺院が管理しており,京都では廻国修行を志す者は,こうした寺院に願い出てオセタを借り出し,西国三十三所を三十三回廻ることで満願となった。
 現時点で確認できている本山は6箇所で,京都では東山区の称名寺が,大仏組の本山として,かつては5基のオセタを有し,常時5人の廻組修行者を抱えていた。
 オセタは,木製の本体とその上に載せる行李とに分かれ,本体には熊野権現本地仏や西国三十三所の本尊を納めた厨子の他,仏具,位牌などを,行李には幡や打敷などの布製品や宿帳などを納めた。法会の際には階段状の祭壇となるような拵えである。
 行者は,廻国修行の際,巡礼道沿いに分布する信者のもとに立ち寄り,そこでオセタを開帳し法会を執り行った。各オセタには信者の住所を記した宿帳がついており,行者が変わる際には,後継の行者はオセタと共に檀那場も継承する慣行となっていた。
背駄

那智山青岸渡寺の記録によれば、住吉組、紀三井寺組、富田林組、嬉組、大仏組、葉室組があり、1915年から1967年までの間に83人の行者が存在していた。

小嶋博己先生の研究によれば
三十三度とか四背駄(ヨセタ)とか呼ばれる修行者の一派があった。四人に限られ河内の国、葉室の壷井家が担っていた。
行者には一定の宿が有り、背駄と称する笈を開いて勤行し参会者から布施を得て巡礼が続けられる。巡礼は三十三回が結願となって盛大な供養が営まれる。
背駄

背駄

葉室は生駒の西麓、二上山をはさんで当麻寺の反対側に位置する村である。
壷井家には4基の笈がある。縦横50センチから60センチ、厚みが30センチから40センチの木製のものである。4基の背駄は西国三十三所霊場開創の縁起に登場する4人の聖者、花山法王、徳道上人、仏眼上人、性空上人から伝来するものと伝えられている。
壷井家は4つの背駄を保管し巡礼行者志願者に貸し出す事によって行者たちを管理掌握していた。
行者志願者には必ず保証人を置かせ戸籍抄本を提出させた上で背駄を背負うことを許していた。
年に一度、巡礼の途中で必ず壷井家に立ち寄る事を義務づけ納め金なるものを上納させていた。額は行者の心任せであったが、戦前には5円から10円程度だったという。
壷井家が行者を廃止したのは戦後間もなくの事である。
現存する背駄はすべて明治以降のものでそのうち一基は昭和5年新調という墨書がある。
背駄には阿弥陀、薬師、観音、大日、不動といった諸仏や花山法王像、聖徳太子像などを納めた小さな逗子がふたつと西国三十三所の各札所の本尊三十三体を納めたやや大きめの逗子が二つ組み込まれている。その他勤行に必要な法具が納められた箱がある。さらに戒名を刻んだ高さ10センチ程の小さな位牌が数十基ずつ戒名と命日を書き連ねた過去帳とが納められている。その他には西国道中御宿帳とか四人行者宿泊帳とか書かれた帳面が必ず入っている。これらの帳面には背駄ごとに異なる数百の家が記されている。無償で泊まる宿である。これらの家々を壇家とも呼んだらしい。
帳面には607軒の家々が記されている。記載順が立ち寄る順だと思われる。一部落に何件もの家が記されているところもあり地区数は250余となる。平均に分布していなく西吉野村などは一地区に21軒の家が並んでいる。宿は巡礼コースにほぼ分布しているが粉河寺から桧原越えしなくて大和街道を通り字智郡、吉野郡でかなりの宿を巡っている。それから河内へでて施福寺へ向かっている。宿は紀伊、河内、大和が圧倒的に多い。大辺路沿い、紀ノ川沿い、字智郡、吉野郡の北部、南河内および北和泉に厚く分布している。反対に播磨以降の宿の分布は札所をたどるための必要最小限に近い。美濃には一軒もない。最東端は近江の醒ケ井である。
三十三度の西国巡礼が済むと満願成就となる。多くは病気や老齢となって退いたり亡くなったりした。昭和以降では満願に達した行者は一人もいなかったという。
西国道中御宿簿
△は太子町葉室

満願の供養は9間四面仮道を建立して盛大に行われ100両と100石なければできないと言われていたという。満願供養に用いられたという花山法王の黒髪曼荼羅と称する掛け軸が壷井家に残されている。字を形作っている黒い部分が実は人毛で花山法王が落飾した際の髪だというのである。この他に花山法王と徳道、性空、仏眼の三上人の姿をそれぞれ描いた掛け軸も有り満願成就の供養の際に用いられた。
法王と三上人の偉業を末世に継ぐため篤志の信徒4名を選んで聖跡修行、巡礼に派遣しそれが世に四背板行者と呼ばれていたという。
花山法王黒髪曼荼羅
花山法王黒髪曼荼羅

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