平清盛ゆかりの真言宗・六波羅蜜寺(ろくはらみつじ)(京都市東山区)が、隣接地での学校整備工事の振動で「空也上人(くうやしょうにん)立像」(重文、鎌倉時代)などの文化財を損傷する恐れがあるとして、京都市教委に整備計画の変更を求めていることがわかった。
市教委は工事方法や校舎配置の見直しなどを検討している。
市教委によると、今年4月に開校した小中学校の新校舎建設工事で、寺の南東側の旧中学校舎を解体していた2009年4月、寺から収蔵庫内の同像が揺れるとの申告があった。
このため市教委は像の下に揺れを防ぐ台を置くなどして解体を終えたが、今後は北西側の旧小学校舎も解体を予定している。寺への影響が出ない方法を探るため、建築の専門家を含めた検討委で協議中だが、結論は出ていないという。
踊り念仏を創始した同寺の開祖・空也上人の像は口から6体の阿弥陀(あみだ)像をはき出す姿で知られる。同寺は取材に対し、旧中学校舎の解体中に阿弥陀像を取り付けた針金が上下に揺れ、空也像の唇の漆が1ミリほどはげたと訴え、学校建設地の変更を求めている。
ただ、像を確認した文化庁は「損傷と考えていない」との見解。市教委は「寺側の理解を得られるよう対応したい」としている。
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