読売新聞によると
11年分を収録した第1巻には、あらゆる願いをかなえるとされる本尊・十一面千手観音像を頼り、家族の平癒や、好意を寄せる人と会う時間を求めるといった様々な願いを込め、本堂の舞台から飛び降りた人に関する記述が37件ある。
1701年4月15日午後4時頃、油屋清兵衛の姪めいで19歳のきわが本堂の舞台から飛び降りたという。日記には、「飛落申候得共無別条、其儘立あがり罷帰り申」(=飛び降りたが、無事で、そのまま立ち上がって帰ろうとする)と記載。引き留めて理由を尋ねると、「為主人之立願候飛申候由」(=主人のために願いを立てて飛びました)と答えたことなどが記されている。
日記全体をみると、計234人(未遂も含む計235件)が「飛び落ち」を敢行。発見者はすぐに町の年寄らを呼び、死亡した場合は町内で数日、遺体の引き取り手を探し、負傷した者は介抱したうえで帰宅させていたことが読み取れ、町が対応に苦慮していたことがうかがえる。
記録されているのは、こうした無謀な行動だけではない。慈悲深いエピソードも書きとめられている。1696年3月24日の日記によると、伊勢参りの途中に町内で気を失った女に薬を与えたという。女が50歳くらいで丹波福知山出身であること、町が回復した女に銭を与えたことなど詳細を伝えている。
男女間のいざこざの記述も。1697年1月29日の日記には、午後8時前、お茶屋に遊びに来た男が店の女に手傷を負わせ、自害しようとした。女の悲鳴で異変に気づいた近所の人々が駆けつけたことや、命をとりとめた男が後に赦免になったことが書かれている。
日記は、全体で20巻程度になる見通しで、今後は年1巻のペースで刊行される予定という。第1巻は9000円(税別)。問い合わせは、同寺(075・551・1234)へ